アメリカで事業を始める場合、連邦税(Federal tax)、州税(State tax)、地方税(Local tax)などの税務面とビジネスの観点からどのような事業形態を選択すれば最も良いかというのは悩むところです。
アメリカでは、日本と同じ会社形態、日本にはない事業形態、事業主体に課税されるかどうかにより法人税課税、パス・スルー課税(構成員課税)を選択する方式があります。
米国の主な営利目的の事業組織形態、課税方法をご紹介します。
アメリカの営利目的の事業組織形態(Business Organizations for Profit)
米国の主要な会社の種類は次のようなものがあります。
・個人事業(Sole proprietorship)
・パートナーシップ(Partnerships)
ゼネラル・パートナーシップ(General partnership) → LLP (Limited liability partnership)
リミテッド・パートナーシップ(Limited partnership)
・LLC (Limited liability company)
・株式会社(Corporation)
Cコーポレーション・普通法人(C corporation)
Sコーポレーション・小規模法人(S corporation)
個人事業 (Sole proprietorship)
個人事業(Sole proprietorship)は最も容易に設立でき、1個人が事業を所有経営することができますが、無限に責任を負います。
法人税の納税主体ではないので、事業主個人として納税します。
パートナーシップ (Partnerships)
パートナーシップ(Partnerships)は2人以上が共同所有者として事業を行う社団(Association)です。
パートナーシップは、ゼネラル・パートナーシップ(General partnership)とリミテッド・パートナーシップ(Limited partnership)に分類され、債務に対してGPは無限責任を負い、LPは有限責任を負います。
法人税の納税主体ではないので、各パートナーに配分された所得にパートナー個人レベルで課税されます。
パス・スルー課税(構成員課税、Pass-through taxation)
パートナーシップのように、事業体への課税をスルーして、個人に課税される方法をパス・スルー課税といい、法人税の二重課税(Double taxation)を回避することができます。
LLC リミテッド・ライアビリティ・カンパニー (Limited liability company)
リミテッド・ライアビリティ・カンパニー、LLCは株式会社とパートナーシップの混合した組織形態(ハイブリッド・エンティティ)で日本版LLCとは少し異なります。
LLCは、メンバーの出資額を限度とする有限責任で、州法によって制定される事業形態であり登録要件などが各州により異なります。
米国内国歳入庁(IRS)へ様式8832(Form 8832 -Entity Classification Election)を届け出る際に、チェック・ザ・ボックス規則があり、パス・スルー課税を採るか、法人課税方式を採るかをチェックします。米国内においてデフォルトではパートナーシップとして扱われます。
パススルー課税方式を選択した場合は、法人税の納税主体とは扱われないので二重課税を回避することができます。
株式会社 (Corporation)
株式会社(Corporation)は、C法人またはCコーポレーション(C corporation)と呼ばれる普通法人と、S法人またはSコーポレーション(S corporation)と呼ばれる小規模法人に分類されます。
C法人、Cコーポレーションは法人税の納税主体となり、法人税を払う法人課税方式を取ります。
一方、S法人、Sコーポレーションはパス・スルー課税がとられる小会社です。適格要件として100人以下の個人の株主で米国居住者に限られます。