企業価値評価を上げる経営分析のポイント

ROA.ROE,M&A.経営指標キャッシュフロー・資金繰り

企業価値評価(バリュエーション)が高いと、将来にわたって生み出すと予想されるキャッシュフローの現在価値(PV)が大きい企業と判断され、M&A、資金調達、融資などに有利になります。

上場企業は株式時価総額によって企業価値を評価できるので株価をできるだけ大きくしようとします。

一方、株式によって評価することができない未公開企業や中小企業は、資産の保有や売り上げの増加に経営のウェイトをおいています。
しかし、企業価値評価の向上は大企業だけでなく未公開企業や中小企業にとっても重要です。

企業価値評価を向上させる方法

自社の企業価値を把握するために、経営指標を分析します。
損益計算書、貸借対照表の定量的要因を分析し、将来のキャッシュフローを生み出す力を判断していきます。財務諸表からの経営指標によって次の項目が分かります。

収益性 もうかっているか。
効率性 有効に活用しているか。
流動性 資金にゆとりがあり、すぐ換金ができるか。
安定性 変動に対して抵抗力、弾力性があるか。
成長性 会社の規模が大きくなる。事業が発展する。
総合評価 収益性、効率性、流動性、安定性を保ちながら、経営のバランスが働いている。

企業の価値を向上するには総合評価をあげること、特に収益性、効率性指標の改善が重要です。

収益性と効率性を示す主な経営指標

収益性(Profitability)の指標

・売上高総利益率(Gross profit margin on sales)
= 売上総利益 ÷ 売上高 (Gross profit / sales)

・売上高営業利益率(Net operating margin on sales)
= 営業利益 ÷ 売上高

・売上高純利益率(Net profit margin on sales)
= 当期純利益 ÷ 売上高

・総資産利益率(Return on total asset : ROA)
= 当期純利益 ÷ 総資産(Net income / Total asset)

・自己資本利益率(Return on equity : ROE)
= 当期純利益 ÷ 自己資本( Net income / Average stockholders’ equity)

効率性(Activity)の指標

・総資産回転率(Total assets turnover)
= 売上高 ÷ 総資産

・売上債権回転率(Account receivable turnover)
= 売上高 ÷ 売上債権

・棚卸資産回転率(Inventory turnover)
= 売上原価 ÷ 棚卸資産

財務諸表からの経営指標分析の限界

企業価値を上げるには、収益性、効率性指標を改善することが先決です。

しかし財務諸表は過去のデーターから作成された数値の分析であり、またその表示能力には制約があります。

時価ではなく簿価で多くは表示されています。

また金銭価値に評価換算できない定性的要因は計上されていません。

経営指標のもととなる財務諸表が実質とかけ離れていれば、その指標も実質と乖離しています。

それらを補うために、実地調査や、資料により財務諸表の数値を見直し判断する必要があります。