損益計算書(PL)から損益分岐点を調べCVP分析(Cost-Volume-Profit Analysis)の指標を用いて、企業の利益率を増やし不況に強い会社経営をする方法があります。
売上高と原価が一致するポイントを損益分岐点売上高といいますが、実際の(計画中の)売上高と比較して上回っている場合は黒字で下回っている場合は赤字のリスクが大きくなります。
不況に備えて赤字にならないようにするためには損益分岐点売上高をまず把握しておくことが重要です。
赤字経営にならないために知っておくこと
経営状態を評価するのに企業がどのくらい不況に強く安定しているかを示す安全余裕率という指標があります。
実際の売上高が損益分岐点売上高を大きく上回るほど安全余裕率は高くなり赤字になる危険性が低く、不景気への抵抗力が強いことを示しています。
企業の安全余裕率とは?
安全余裕率は次のような計算式で表されます。
安全余裕率(%)=(実際の売上高 - 損益分岐点売上高)/ 実際の売上高
不況に備える方法
企業がどのくらい不況に強く安定しているかを評価する指標である安全余裕率を高くすることが経営力の向上と改善に直結します。
損益分岐点売上高と実際の売上の差がプラスで大きいほど安全余裕率は高くなるので、そのためには損益分岐点売上高を引き下げるか実際の売上高を上げる方法があります。
利益を増やすには損益分岐点を下げる
不況時においては、売上高を上げるのは難しいケースがあります。
損益分岐点を下げる場合は、会社の経費を変動費、固定費に分けて把握し、経費を圧縮する方法をとります。経費を圧縮することにより、損益分岐点が下がるので利益が出しやすくなります。
変動費とは売上の増減により変化する費用、固定費とは増減にかかわらず一定の費用をいいます。
固定費と変動費に分解し売上に与える影響をそれぞれ考慮しながら、まず固定費から削減していきます。
固定費には設備の減価償却費や人件費、賃借料などが含まれますが簡単に削減できるものではないので慎重に検討したうえで、外注やアウトソーシングなどに切り替える工夫が必要です。
変動費は、原材料費や燃料費などが含まれますが購入先の見直しや価格交渉することで削減していく方法があります。
価格交渉によって品質低下を招く可能性があるので注意しなければなりません。
損益分岐点売上高を引き下げ、安全余裕率を高めることで、不況に備えることができます。
このように決算書の数字を使って実務的な角度から財務分析することで企業の実態を把握し不景気に対する備えができます。
それを活用して来期の目標利益を設定し利益計画の作成に役立てることが可能です。