アメリカの確定申告、タックスリターンを米国内国歳入庁(IRS)に提出したら直面する可能性のある「IRS監査」。
IRSによるの監査は一般的ではありませんが、過去数十年間でアメリカ確定申告書の提出件数は増加しています。2020年IRS最新統計によると、監査に対応する人員は減少傾向にあり、監査を受ける可能性は毎年減少しています。直近のIRS監査率もこれまで実施された監査で最も低い割合となりました。
安心してはいけないのは、バイデン政権が、タックスコンプライアンスと税務執行を強化することによって歳入を増やしたいと発表したことです。言い換えれば、監査は今後数年間で増加する可能性があることを示唆しています。
最新のアメリカ内国歳入庁IRS統計資料から監査を受ける可能性、仕組み、監査リスクを低くするための対処などをご紹介します。
IRS監査の可能性が高い納税者とは?
IRSの統計によると監査を受ける可能性が最も高い主なグループは次の通りでした。
•勤労所得税額控除(EITC)を請求した申告
•高額所得の申告
•所得がプラスでない申告
•相続税の申告
勤労所得税額控除(EITC)監査とは何ですか?
EITC(Earned Income Tax Credit)とは、勤労収入を得ている特定の人々に対する払い戻し可能な税額控除です。EITCを請求するには、納税者は特定の条件を満たす必要があります。これらの条件には、納税者と資格のある子供が申告期日までに社会保障番号を持っている必要があり、適格な子供たちは、年齢、および居住テストを満たさなければなりません。また、申告状況に基づく所得制限もあります。
ナショナル・リサーチ・プログラム(NRP)によると、2,600万人以上の納税者が640億ドル以上のEITC特典を受けていますが、EITCの請求の約50%に何らかの誤りがあります。
所得区分別 IRS監査率
2010年から2018年までの課税年度に提出されたすべての税務申告書について、IRS監査を受けたのは個人申告でわずか0.63%、法人申告では1.0%でした。所得別の監査率は、所得が増加するにつれて大幅に増加する傾向があります。
たとえば、2020年度末の時点で、2010年から2018年までの課税年度の個人納税者の合計所得(Total positive income:TPI)が1,000万ドルを超える高所得納税者のうち9.8%が監査されています。
個人納税者の2010年から2018年所得区分ごとの監査率の割合を下のグラフで示しています。左から1$~10万$、10万ドル~100万ドル、100万ドル以上とプラスの所得なしに区分され、いずれも減少傾向にあります。
個人納税者の2016年の監査率は、 合計所得(TPI)が 100万ドルから500万ドルの場合2.2%、500万ドルから1000万ドルの場合4.2%、1000万ドル以上が7%でした。
グラフ. 個人納税者 所得別監査率(2010-2018)

法人の確定申告でフォーム1120-S以外を提出した場合、フォーム1120(1120-C, 1120-F, 1120-H, 1120- L, 1120-ND, 1120-PC 等提出)は、平均0.3%が監査の対象となっています。
法人でフォーム1120-Sを提出した場合の監査率は、200億ドル以上が36.8%、次いで50億ドル以上200億ドル未満が17.9%、10億ドル以上50億ドル未満が6.6%と減少し、1ドルから25,000ドルではわずか0.1%です。
2017年、2016年のデーターでは個人、法人のどの区分においても2018年より監査率は高く、年々減少していることがうかがえます。
表. 納税主体別/所得区分別監査率、監査後加算税(2018-2016)
表右から3列目 Percentage covered 監査率、
表右から2列目 Number of returns examined with no change 監査後変更なし、
表右列 Recommended additional tax 監査後追徴税有(単位千$)
2016年監査率 納税主体別、所得区分別

ーアメリカ内国歳入庁の最新データーからわかることー
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目次
IRS監査の可能性の高い納税者とは?
所得区分別IRS監査率
グラフ. 個人納税者 所得別監査率(2010-2018)
法人、個人/遺産、贈与等のIRS監査の違い
表. 納税主体別/所得区分別監査率 監査後加算税(2016-2018年)
IRS監査は申告書提出から何年間対象となりますか?
IRS監査はどのように行われますか?
グラフ. 監査方法別 監査数(2011-2020)
IRS監査の対策方法
どのようにIRSは監査の対象を選択するのですか?